読み比べ ~十五少年漂流記 VS 蠅の王~
1888年に書かれた、ジュール・ヴェルヌの名作『十五少年漂流記』は
読んだことがある人も多いだろう。
ウィリアム・ゴールディング 『蠅の王』
どちらも、無人島に漂着した少年たちの話、と設定は同じだが
十五少年が、夢と冒険の話で感動的な結末と読後感を味わえるとしたら
『蠅の王』は、全く対照的であると私は感じた。
そして、どちらも人間社会、特に大人の人間社会の縮図であるとしたら
恐ろしいことに『蠅の王』の方が、現実に近い。
でも、少年を使って人間の心理を描くには、あまりにも狂気じみ過ぎている。
恐ろしくて、途中何度も、読むのをやめようと思った。
が、どうしても結末が知りたくて、最後まで読んでしまったのだが
得たものは、悲しい人間の本質を改めて思い知らされただけだった。
十五少年のほうは、ぐいぐい読ませられた。
「勤勉・勇気・思慮・熱心 の四つがあれば
少年たちでも、必ず困難に打ち勝つ事が出来る」
もうひとつ付け加えるとしたら、「秩序」かな。
やっぱりこういう、読んでるほうにも勇気を与えてくれる作品が好きだし
子どもにも読んで欲しいと思う。
おさにどうしても読んで欲しいと思っていたが
私が読んだのは文庫本。
読み聞かせするにもちょっと気が遠くなりそう・・・
と思っていたら、おさが先日の補習校の古本市で
児童書の『十五少年』を買ってきたのだ。
お金を払うときに、ボランティアのお母さんも
「この本は、すごくいいよ」と言ってくれたらしく
時間を見つけては少しづつ読んでいたら
やはりこの話の世界に引き込まれたらしい。
お恥ずかしい話ですが、この前の読書感想文に
「くまのこウーフ」を読もうとしていたおさ・・
なにしろ、日本語に関しては実年齢の読解力がないために
少しでも文字が大きくて、文章が少なくて、言葉が簡単な本を
読もうとしてしまう。(ひろも同じ)
なので寝る前に、未だに私が読み聞かせをしてあげたりも。
そんな深刻な悩みを抱えていた中
おさにとって初めての名作、長編となる読書となった。
子どもに夢と勇気を与え、自分がヒーローに置き換えられるような
そんなすばらしい名作をもっと与えてあげたい。
そして私も、子どもと同じ目線に立ったり
童心に帰れるような、そんな世界を作ったりもしたい。